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「いただきます」
食べ始めてしばらくして、江崎さんは言った。
「忘れてた。それで、なんでスマホ見てあんな顔してたの。……彼氏とケンカでもした?」
「え」
江崎さんは、もう付き合って一年になる相手が居ると前に聞いた。こっちは聞かれたことがないので、何も話していない。
「いや、言いたくなければいいけど。ちょっと興味あったから」
私はハンバーグを食べていた手を止めた。
「彼氏、ではないです。まだ。……ただ、また会う約束はしたんですけど、それきり二週間くらい連絡取ってないので」
江崎さんは顔をしかめた。
「それって……単に向こうにその気が無いってことじゃない?」
「……ですかね」
「え。いや、分からないけど……いくつくらいの人?」
「ええと……だいぶ上です」
「三十代くらい?」
「まあ、それくらい……」
江崎さんは胸の前で腕を組む。
「それ、良く取ったら仕事が忙しいか、悪く取れば忘れてたり、そういう目で見てないか。……もしくは都合のいい女扱いか」
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