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わたしは、首を振った。
「怖がってるの、わたしだけだと思ってました」
彼は笑って言う。
「お前、俺が今日誘ったの、ただ気が向いたからだと思ってんだろ。そうじゃねえよ。ちゃんと時間取ってやりたかったのに、それが出来なかったから、けど早くしねえとお前不安になるだろうし、……新しい職場で、いい男見つけても困る。ってことで、急は承知でダメ元で連絡したってとこだ」
「そう……だったんですか……」
「で、せっかく会えて、こっちの用が済んだから、食事とか夜景とか、なんかデートらしいことって考えてたら、……ああいうことになったんで、ついキレちまった。悪かったな」
何も言えず、わたしはただ、ぶんぶんと首を振った。
「遠慮してンだか。本当に嫌なんだか分からねえから、こういう状況になったら正直に言うだろうと思って、勝手にここ取って。……あげく、ああいうことして、反省はしてる。……けど、お前のことになったら、多分またすぐ頭に血上るから、また同じようなことやらかすかもしれねぇ、ってのは言っとく」
「……意外に、……って河田さんが言ってた通りじゃないですか」
「あー……って、おい、さすがに小学生はねぇだろ」
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