【9】

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   確かに、まるで走ってでも来たみたいに上気して赤い。  ……あの人の前でも、こんな顔してたんだろうか。と思ったら余計に顔が熱くなった。 「起きたか。この酔っぱらい」  目が覚めて、隣で煙草を吸っていた彼と目が合うなり言われた。 「大丈夫か。二日酔いしてねえか」  言いながら彼は近くに置いていた灰皿に煙草を揉み消す。 「ええと……もう朝ですよね?」  照明の点いていない部屋はうっすら白んでるし、遮光カーテンの裾からは日が漏れている。 「6時半だな」  窓際のテーブルには、お酒の缶とコンビニの袋。  彼はホテルのレストランに連れていってくれるつもりだったのを、緊張しそうだからとコンビニのご飯にしてもらった、のは覚えてるけど……。  どのタイミングでどうなって自分も彼も裸なのか全然覚えてない。 「記憶ねえのか?あれっぽっちの酒で」  「ご飯食べ始めたあたりまでは覚えてるんですけど……あたし、何か変なこと言ったりしませんでした?」 「……変、って言えば変だな。普段通り」 「え」  それはそうかもだけど。 「じゃ、再現するか?」
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