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「そんな興味無さそうな顔でなによりって言われても。……でも、人並みなのか分かりませんけど」
「……ン?」
「考えが変わるくらい、小さいことが嬉しくも思えるし、逆に小さいことが不安になったりもするんですけど、考え過ぎなんでしょうか。みんな、そうでしょうか」
「みんな、そうじゃねーのか」
俺は飲みかけの酒を煽って、言った。四十過ぎてそんな青い話、酒飲まなきゃ聞いてられない。
「そんなもんだろ。……ただ、俺に言うならいいけど、もしこの先、オッサンに見切りつけて、若いのと付き合うようなことがあったら、そんなこと言わねえほうがいいぞ。この程度で喜ぶような女だ、ってナメられる」
返事が無いので見ると、唇結んで俺を見つめていた。
「……どうした」
「どうして、そんなこと言うんですか?」
「どうして、って……オッサンは今まで失敗してるから、お前がそう言っても、欲が無い女だからこそ大事にしてやんなきゃ、って思うけど。若いのは言葉通りに取って、こいつはそれでいいんだ、って都合のいい女にしたりする。そういうのに、お前が引っ掛かったらって」
「それもですけど、『見切りつけたら』なんてどうして言うんですか。あたしがいつかそうすると思ってるんですか」
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