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「……さっき言ってたことですけど」
「……なんか言ったか。俺」
隣で煙草に火をつけた彼にわたしは言った。
「……あれはそういう意味だったんですか?捨て台詞みたいなって」
返事が無い。聞こえてないみたいに、そっぽを向いて彼は煙草を咥えている。
「もう一回言いましょうか」
「聞こえてるわ。オッサン耳まで遠くなってねぇよ」
それからしばらくして、話は終わったのかと、わたしがまどろみかけた頃、声がした。
「……あれだけ優しく相手してやって、名刺まで仕込んで2か月シカトとか、傷つくだろ。普通」
……ん?
「こっちからは連絡取りようがねぇし」
「……もしかして、結構恨んでます?」
返事無し。
「あたしは、名刺見てすぐに電話したくなったけど、もうちょっと一人で頑張って、頑張れたら連絡しようって思ってました」
「……俺はまた、男焦らすテクニックかと思った」
「……ほんとに?」
眉を寄せて彼は煙を吐いた。
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