【16】

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 それから、駅まで行く途中の喫茶店でモーニングセットを食べて、電車に乗ってわたしが行きたかった場所に行った。  桜木町。 「観覧車でも乗りてぇのか?」  電車から外を見ながら彼が言った。Tシャツに半袖のシャツを羽織った彼は、三十代後半くらいには鯖を読める、かもしれない。  わたしは、この前この人も誉めてくれたので、江崎さんと買ったピンクの半袖ブラウスにスカート。と、サンダルはお給料日後に新しく買ったものだ。 「高いところ、椿田さんは?」 「……お前は?」 「何で返すんですか。もしかして苦手とか?」 「地に足ついてねえのは嫌なんだよ」  眉を寄せて、物凄く嫌そうに彼は言った。 「あたしは高いところ平気ですけど、別に行かなくていいですよ。特にどこか、っていうんじゃなくて。なんとなく、海が近くて船があってっていう雰囲気が、久しぶりに見たかったから」 「……久しぶりにって、前にも誰かと来たのか」 「近くだし、普通に友達と買い物に。……どうして?」 「別に」
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