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「……そう話した記憶はありますけど、……他は特に」
「……そうか」
「そうだ。そういえばちょっと気になってたんです。あたし、記憶が無い間、なにか……たとえば椿田さんにゴネて喧嘩したり、ありませんでした?何か引っ掛かるような気がして」
彼は足を止めて、少し考えるような間を置いて言った。
「別に、喧嘩はしてない。ただ、……お前は、俺の何なのかって聞くから、彼女だ、って言った。俺は、お前の彼氏だからって、そういう話はした」
「……え……」
わたしは、彼のシャツを掴んで言った。
「そんな嬉しいこと言ってくれてたなら、どうして朝起きて、わたしが覚えてないって分かったら、すぐ言ってくれなかったんですか!」
彼は答えない。
「あたしが忘れてたら、嫌じゃなかったですか?そんな大事なこと言ってくれたのに」
「……っせェな!こっちだって、お前が忘れてる話、 蒸し返していいモンかどうか、悩むだろ。……」
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