【17】

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「……え?」  男の子は、黒のTシャツにジーンズ。偶然だけど、服装的には椿田さんをちっちゃくした感じ。  心配そうな眼で見られて、わたしは慌てて目元を拭う。 「え、えっと……別に、何でも……ないよ」  それでも、じいっとその子はわたしを見つめる。  何年生くらいなのか、子供に接する機会が無いから分からないけど、顔はまだ幼いけど、体はもう結構しっかりしてる感じだ。 「それより、きみ、一人?お父さんお母さんとか、お友達は?」 「……かーちゃんと来てるけど、今は一人」  答えるまでに、間があった。 「お母さんはどこに居るの」 「時間決めてあるから、ちゃんと後で戻る。ねえ、つらいときにはガマンしちゃいけないんだよ。かーちゃんも、ヒロも、いつも言うよ」 「……ヒロ?」 「かーちゃんの彼氏。あ。うちのとーちゃんは死んじゃったから。おれ小さい頃に」  ――――複雑な家みたいだけど、虐待とかでは……ない、だろう。  辛い時には我慢するな、って言うくらいの彼氏なら、ちゃんとした人だろうし……。
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