【17】

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 けど、……じゃあ、せっかく家族で休日にこんなところに来て、どうしてこの子は一人でうろついてて、わたしに声をかけたり……。 「――――おい。涼子」  降ってきた低い声に、どきっと胸が鳴った。  条件反射だ、と思うくらい、この人も、この人の声も好きなんだと自覚してしまう。 「なァに俺の居ない隙に、ナンパされてんだ。ずいぶん若ぇのに目つけられたじゃねェか」 「……若過ぎです」    椿田さんは階段を降りてくると、男の子の前に立って言った。 「おい。ガキ。俺の涼子に何か用か」  俺の、って……。  今そんな時じゃないし、子供にそういう言い方自体大人げないんだけど、……顔が熱くなる。  男の子は、一瞬気圧されたようだったけれど、負けまいとするみたいにキッと彼を見上げる。 「……おじさん。この人のなに?」  話が、振り出しに戻った。 「……あの、それは……」 「お前にゃ関係無ェだろ。俺の、って言ったら俺のだ」  答えになってない。 「この人泣いてたよ。なんだか分かんないけど彼氏ならちゃんと面倒みてあげなよ」
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