【17】

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「そうか」 と、椿田さんは表情を変えず、わたしの方も見ずに言う。 「他に、言いてぇことあるか」 「……別に、無いけど」 「じゃあ、親んとこ帰れ。大人がみんな黙って話聞くいい奴ばっかりだと思うんじゃねえ」 「椿田さ……あの、この子ちょっと事情ありそうで」  慌ててわたしが言っても、彼は動じない。 「聞いてた。戻ったら、ちっけぇのに口説かれてンから、何事かと思って話しかけられなかっただけだ」 「ちっさくねーよ。おれもう10歳だぞ」 「じゃ、4年か5年生ぐらいか?それにしちゃ小せェな」 「小さくない!背の順、半分より後ろだぞ」  ……まるで子供の喧嘩だ。  と、思って見ていると、椿田さんは男の子の前にしゃがみ込んで、視線を合わせて言う。 「おい。ガキ。お前の家族がどんな家族でも、俺らの知ったこっちゃねえ。が、何か困ってるなら話は聞く。なンも困ってること無くて、ただ暇持て余して他人のことに首突っ込んでンなら、とっとと親のとこ帰れ」
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