【18】

1/4
2546人が本棚に入れています
本棚に追加
/299ページ

【18】

 男の子は、口をつぐんで黙り込んだ。  冷たい言い方にも思えるけど、……間違っては、いない。  遠くで、親子連れの楽しそうな声が聞こえる。  小学4年生が、こんな場所で、ひとりで遊んで来いと突き離されるような年齢なのかどうか、わたしには分からない。  男の子は、言った。 「別に困ってることなんてない。けど、この人泣いてたのは本当だから、それは聞いてあげなよ」 「お前が居なくなったらな。……で、親と約束してるってのは、何時に約束してるんだ」 「……12時」  あと、20分くらいだ。 「どこで待ち合わせてるの?」 「決めてない。時間になったら電話することになってる」 と、男の子は子供用の携帯電話を見せる。 「……なるほど。今の子はそういうの持ってるんだよね」  わたしは、椿田さんを見上げた。 「……それくらいの時間なら、一緒にお茶飲んだりするくらい……ダメですか?余計なことかもしれないけど、このまま放り出すのは、なんか……ちょっと気になります」
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!