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椿田さんは、ひとつ溜息をついて言った。
「俺が煙草吸いに行ってる間。そこの自販機で飲み物買ってやるくらいなら」
「――――名前は?」
「りょう。漢字はね」
さっきの階段に並んで座った彼は、自分の手のひらに指で描いてみせる。『諒』という字に見えた。
「かっこいい名前だね」
「ヒロも最初会った時、そう言ってくれた」
……彼氏も、悪い人じゃなさそうだし、嫌いでもないみたいだ。
「諒くんが10歳で……お母さんはいくつくらい?」
「ハタチって言ってるけど、ほんとは30」
思わず笑ってしまった。
「そっか。じゃあ、聞いちゃいけないね」
「おねーさんは?」
「あたしは、23」
「彼氏のおじさんは?」
椿田さんは、わたしにお茶と彼にジュースを買ってくれた後、喫煙所に行った。
「……41」
「えー!?」
わたしが答えると、彼は目を丸くして言う。
「41引く23でしょ?……18も上じゃん。うちのかーちゃんとヒロより年離れてる」
「お母さんと彼はいくつ離れてるの?」
「……忘れちゃったけど……でも18も離れてないよ」
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