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「そっか……そうだね。……やっぱりおかしいかな」
「あんなおじさんのどこがいいの」
一瞬、考える。
どこがって言われると……。
「……全部?……って、まだそんなに全部知らないけど……知ってる限り……」
さっきの、彼氏彼女の話にしても、……何か考えがあって黙っていたとか、もしも隠してることがあるとしても……それでも、もう知り合う前には戻れないくらい好きになってしまっている。
明日からあの人が、わたしの生活の中から居なくなってしまったら、と考えるだけで、足元が不意に消えてしまうくらい怖い。
「……ふーん」
ぷーっ、と面白くなさそうに、諒くんは頬を膨らませた。
「もったいない。あんなおじさんじゃなくて、もっとカッコいい彼氏できそうなのに」
「ありがとう。……でも、あたしには、カッコいい彼氏なんだよ。あんなおじさんだけど。……でも、諒くんに色々きつい言い方したのは良くないよね。あたしが謝るよ。ごめんね」
彼は紙パックのジュースを飲み終わると、何か考えるような顔をした。
「……おれ、かーちゃんとヒロが付き合うのは嫌じゃないんだ。でも……なんか、ジャマものっていうか……おれ居ない方がいいのかなって思っちゃったんだ」
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