【20】

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「……それ、答えてもいいのか?」 「え?」 「誰と来たのかって、お前考えるだろ」  あ。  一瞬考えている間に彼は答えてしまった。 「去年の12月だ」 「え!?……」 「なんだその反応は。……高いところは嫌だとか言っといて、女にねだられたらすぐ来るのか、って感じか?」  うっ……。  ていうか、12月って……クリスマスとかイルミネーションとか。  しかもこんな場所。明らかにそういう人たちしか来ないし。 「……誰と来たかも言うか?」 「いえ。いいです」  彼は笑った。 「お前。さっき俺があのかーちゃんと話してる時も、なんか嫌そうな顔してたろ」 「へっ?」 「言っとくが、別に美人のかーちゃんだから気遣ってあんなこと言ったんじゃねぇからな。俺がしょっちゅう親に怒られるガキだったから、小言減らしてやりたくなっただけだ」 「……そんなこと、改めて言われなくても分かります」 「そうか」   分かっていてもどうにもならないから、苦しいのに。  だいぶ上ったので景色は良いはずだけど、わたしは足元の床に目を落としたまま言った。 「……そうやって、あたしをからかうために、わざわざこんなところに来たんですか?」
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