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……だったら、最初からそう言えばいいのに。
って、言わなくていいって言ったのは、わたしだけど。
「それまではノリで誘われても絶対嫌だって断ってた。だから今日が2回目だ。……で、怒られるつもりで来た、ってのは……」
彼は一度言葉を切って、わたしを見た。
「お前が覚えてない時に、俺は、お前が傷つくようなこと言って泣かせた。だから黙ってた」
……あ。
……思い出せないけど、でも、そのもやもやした感じは、なんとなく残っている。
「言ったらお前がまた気分悪くするだろうから、ってのと、……出来たら、俺の失言でお前泣かせたなんてことは、無かったことにしたかったからな。黙ってて悪かった」
「……彼氏だ、って言ってくれた……っていうのは?」
「それは言った。……もし、この先お前が、俺に飽きて、他の男と付き合うことになったら、ってうっかり言っちまったらお前が泣いて、収拾つかなくなって。そんなつもりで居るならほっといてくれ、って言われて。……だから、言った。先はどうでも、今はお前の彼氏なんだからほっとけるか、って」
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