【21】

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「最初会った時、お前22って言っただろ。だから、新卒ならこれから誕生日で23ってとこだな、と思ってたから。計算合うな、と」  安直な自分が恥ずかしくもなるけど、そうやってわたしの知らないところで、この人がわたしのことを考えてくれてた、というのはちょっと嬉しい。 「……話戻すけど、さっきあのガキに、半分冗談で恋敵(ライバル)とか言ったけど、事実あっちの方がお前と年近いんだ。俺がどんだけ引け目感じるか分かンだろ」 「……でも、18歳差も19も、そこまで行ったら大して変わりませんよ」 「それ、全っ然、慰めになってねえ……」  その時、がくん、とゴンドラが揺れた。  ずっと話していて気がつかなかったけど、頂上を過ぎたのだ。 「……椿田さん、半分過ぎましたよ。あと降りるだけです」 「それ、俺を気遣ってくれてるのは分かるが。今の話の流れだと、俺の人生言われてるみたいな気がするんだが」 「あ、ほんとですね」 「おい」  なんとなく、笑ってしまった。 「大丈夫です。椿田さんなら、……年取っても、きっと好きですよ」
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