【23】

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「……あの……江崎さん」  総務の席に戻って、わたしは隣の江崎さんに声をかけた。 「今、ちょっと変なことあったんですけど……」 「え?なに?」  振り向いた彼女は、何だか切羽詰まっていそうだった。 「あ、いえ。いいです。忙しいなら。ていうか、なにか……」 「勤怠の入力してたら急にエラーが出て動かなくなって。シャットダウンするのも怖いし、どうしようかと思って」  江崎さんは、普段は何でも一人でバリバリ出来る人だけど、パソコン関係にはすごく弱い。今、総務には課長も他の人も居るけど、そういう場合は当てにならない。 「……システム管理課の人に来てもらったら一番早いと思いますけど」 「あ、そうだよね!涼子いいこと言った」 「……いえいえ」  江崎さんがシステム課に電話して、二、三分して対応に来てくれた。 「すみません。今こっちのサーバーもトラブってたんで、その影響だと思います。再起動すれば問題ないと思いますけど、僕がやっても?」 「お願いします!」  隣で話してる声を聞いて、あっと思った。  さっきの人だ。
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