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【5】
高速を降りて一般道に入ると、彼が言った。
「夕飯、まだ後でも大丈夫か?お前が平気なら、先に用済ませた方がゆっくり飯食えるかと思って」
「あ。はい」
本当は結構お腹減ってるけど。
ここに来るまで、わたしの今の仕事の話とか、彼が普段ご飯をどうしてるのか、とか、大した話じゃないのだけどずっと喋ってきたので、ちょっと喉も渇いていた。
「そのお客さんのところまで、あとどれくらいなんですか」
「15分ぐらい……その前にコンビニ寄っていいか」
「どうぞ」
それから最初のコンビニに彼は車を停めた。
「煙草買ってくるけど、お前も降りるか」
「あ、降ります」
お茶買おう、と思っていると
「あと、トイレ行くなら行ってこい」
と言われた。
大丈夫です、と答えたけど、もしかしてそれを気にして停まってくれたのかも、と思った。煙草は、まだ箱にだいぶ入っているようだったから。
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