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【15】
それは、わたしも同じなんじゃないか、と思った。
あの人たちが最低でも、体を重ねただけで好きになってしまっていたら。断れなかったら。今頃不倫したり、全然幸せじゃない関係を続けていたかもしれない。
そしたら、この人には会えていなかったかもしれない。
ほんの少しのことで、出会う人は変わってしまう。
「……どうした?」
しがみついて、頬にキスした。
彼は笑った。
「なんだそりゃ」
「したかったから。……」
彼の首に腕を回して、もう一度唇を重ねた。
確かめるように舌先を触れ合わせる、くすぐったいのに心地いい感覚。
深く吸って、重ねて、出入りする舌がぬるりと唇を撫でて濡らす。人に見せちゃいけない体の内側を擦り合わせるような。二人だけの秘密を共有するような感覚。
きっと、この人だから、教えてもらった。
「んっ……」
彼の手が、まだ着けたままのブラをめくって、尖りを露わにして指先で転がす。
びくんと体が跳ねて、息が漏れる。
「……もう、話は終わりでいいな?」
抱きかかえるように、わたしをベッドに寝かせて、彼は首筋に歯を立てた。
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