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【21】
「……それは、本気だったんですか?それとも、あたしが泣いてたから?」
今は、わたしは冷静だった。
忘れてはいても、一度聞いたことだからか、それからの短い間にわたしが変わったのか。
彼が、わたしが取り乱さないように気を遣って話してくれるからか。
「正直言えば、何とかお前落ち着かせたくて、口から勝手に出たところはある。今でも、俺がお前の彼氏とかありえねぇだろ、とは思う。……ただ、じゃあ、他の男に取られていいのかっていったら、今はもう、そうは考えられねえけど」
「……ありえない、って、どうしてですか?」
「当たり前だろ。お前23で、俺42だぞ?」
「……41って、言ってなかったですか?」
しまった、という風に彼は片手で顔を覆う。
「……来週、42になんだよ。……これでまた1歳分開いちまうな、って頭にあったから、つい」
「いつですか?」
「7日。……だいたいお前が早生まれなのが悪い。余計に年離れてる気になるだろ」
「……早生まれですけど、あたし、椿田さんに誕生日話しましたっけ?」
「アドレスに217って入ってただろ。2月17日だろうなと思ったけど、違うか?」
「……仰る通りです……」
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