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「ヒャッホウ! ボロ儲け、ボロ儲け! おかげで衣服はボロじゃない♪」
「うるせぇ、ガキが起きる」
金貨を数えていたパスカルはため息をつくと、宝石を手に子供のようにはしゃぐベンクトを窘めた。
「また寝てんのかぁ? 寝すぎだろいくらなんでもよぉ」
「まだガキなんだから仕方ないさ」
野ウサギの死骸を片手にエーリクがやってきて、眠るハンスの傍に座った。
夜の闇に支配された洞窟の中央に明るく燃える薪の炎に照らされ、黒いガラス玉と化したウサギの目に橙色の光が差し込む。
「起きて早々これ見たらまた卒倒するかなぁ?」
面白そうにウサギを指差すベンクトに、ユリウスはナイフを研ぎながら笑う。
「狼の共食いを間近で見たんだから大丈夫だろ」
「そもそも、目の前に人が倒れてんのに何でまたわざわざ共食いなんてしたんだ?」
「グンナーとフィンが言うにはハンスが何かしたんじゃないかって」
「何かって何だよぉ」
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