第1章 出会い

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私は前から五列目の席に座って、教科書やらペンケースを出し始める。 水の入ったペットボトルも隣に置いて、準備完了だ。 講義にはだいぶ時間があって、退屈していた。 トイレにでも行ってこようと身体を横に向けると、上から声がかかった。 「美桜」 振り返ると、こちらに笑顔で降りてくる男の子。 「(みずき)君」 「隣座ってもいい?」 「どうぞ」 瑞君は、同じ学年の医大4年生。 こうしてよく授業で隣に座って話したり、たまにご飯に行ったりしているけれど、とにかく女の子にモテる。 医大の女の子より、他の大学の女の子とか… 最近はあまりご飯にも行っていないし、こうして授業で一緒に座ることもなかったから、彼と会うのも久しぶりだ。
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