第1章 出会い

13/52
前へ
/448ページ
次へ
二度目の談話室は薄暗い雰囲気だった。 今朝の晴れ晴れした自然光はどこにもない。 そして、あの先生もソファにはいなかった。 それに坂田先生の姿もない。 鍵とかしめていけばいいのに。 「不用心な先生…」 いないなら仕方がない。 静かに部屋を出て、早いとこ帰ろう。 雨が降るのは厄介だ。 少し速足になって廊下を進む。 だけど、廊下を進むにつれて遠くで雷が鳴る音が聞こえた。そして、間もなく、雨の降る音が聞こえて、速足で歩く足を止めた。 「あぁ、降ってきちゃった…」 どうしようか、近くの窓から外を見ると、灰色に染まる空からザーザーと雨が降っている。 こんな中帰るなんて、濡れること間違いない。 いくらアパートが近くにあるとはいえ、今日の服装を考えれば透ける。
/448ページ

最初のコメントを投稿しよう!

434人が本棚に入れています
本棚に追加