第1章 出会い

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私はただあの家から離れたかった。 両親のことをどう思うか?と聞かれたら、私はなんて答えるだろう。 少なからず、大好きだったとは言えない。 それと離れたい理由はもう一つ、姉夫婦の邪魔になりたくなかった。 もちろんあの二人も甥っ子も邪魔なんて言わない。だけど、そう言わせてしまう自分も嫌だったし、さっさと実家を離れた。大 学近くのアパートだから、通学にもバイト先にも便利な場所だった。 今年はまだ三月中旬だというのに、桜は蕾が開こうとしている。 場所によって、満開になると薄っすらピンクになっているところ、白く見えるところがある。大学近くの桜通りは満開になると白く見える。これでもう少しピンク色なら可愛く見えるのに。 この前甥っ子を連れて出かけた公園の桜の木は、まだまだ蕾だった。 しかし、今年は満開になるのにそう時間はかからないかもしれない。
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