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いつもしない正装になんだかそわそわした。
ワンピースやスカートなんて類は着ず、スキニーにトップスを合わせることがほとんどだから尚更だろう。ヒールだけは普段から履いているから特に問題はないのだが。と、美桜は助手席に座りながら落ち着かなかった。
そういえば、亜蓮はちゃんといけるのだろうか。洋服やお金は大丈夫かと一気に心配がこみ上げる。
「あ、はるさん、亜蓮大丈夫かな。お金とか洋服…私何も知らなかったから、準備してあげてない。どうしよう……」
咄嗟に携帯を取り出して、亜蓮を探す。
しかしそれを遮ろうと悠に手を掴まれた。
「大丈夫だよ。亜蓮はちゃんと準備できてるから。」
「本当?よかった…」
ストンとシートに身を預ける。
亜蓮は家を出たかな。電車大変じゃないかな。
歩いて行ける距離じゃないことはだいたいわかる。
予約の店に着いたのはそれから20分後だった。
夜景が綺麗で、少しだけ肌寒い。
薄手のコートはまだまだ必要だなと思った。
悠の差し出す腕に自身の手を置く。
エスコートが慣れている悠は別世界の人に見えた。
なんだか悔しい…
そう思いながら、いく先を見ると見覚えのある姿が見えた。
「亜蓮!」
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