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久々の酒と食事、デザートまで堪能して食後の紅茶で団欒の時を過ごしていた。
テーブルの真ん中に花とキャンドルが飾られていて、キャンドルの灯りがガラスに反射して綺麗だった。
あんなに動いた後だから、食事が美味しく感じると声には出さずとも悠も美桜も思っていた。
テーブルマナーはなんとなくで覚えていったわたしとは違って、亜蓮はそのあたりのマナーは完璧だった。
「亜蓮、マナーは覚えたの?」
「違う。なんか家庭科の授業でやった。」
授業でやるマナー講習なんてたかがしれている。けれど、最小限のことができていれば問題ないのも事実だ。
本当にできる子だな。
そーゆうところは悠似だろうか。
紅茶を飲みながら、亜蓮を盗み見た。
「亜蓮、」
コーヒーの入ったカップが置かれた音に遅れて、悠が亜蓮に向き直る。
「美桜と結婚する。」
「ほんと?!」
ガタッと音がしたのは、勢いよく亜蓮が立ち上がったせいだ。こんな取り乱すような慌てた亜蓮を見るのはいつぶりだろう。何に数回あるかないかだ。
いつもの落ち着いてクールな亜蓮とは違った。その反応に美桜は驚いた。
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