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「ほんとに、結婚してくれるの?」
「うん。亜蓮が望むなら…。でも、それだけじゃなくて、私たちももう自分のことを考えようって話になって……、」
私がね、と美桜はその後に言葉を繋げていく。
亜蓮を引き取るときに決めた両立すること。そしてこの先の人生一生かけて亜蓮を愛す。
自分の決めた道を諦めたくないし、亜蓮を諦めることもしたくなかった。だけど両立って難しいことを学生生活、研修医時代に思い知った。
こんな私が結婚なんてできるのか。偏るに決まっている。不器用な自分だからわかった。私には結婚は無理だと。
だけど後押ししてくれたのは亜蓮の言葉だった。
亜蓮が望んでくれるなら、3人でちゃんと家族になって毎日おはようとかおやすみとか言い合いたい。ずっと一緒にいたい。
そして、賑やかな家族にしたい。亜蓮がお兄ちゃんになって将来妹か弟と抱き合うところを見たい。
はるさんと亜蓮とずっと一緒にいたい。早くこうしてればよかったんだけど、どうしても自分の愛情が偏るのが許せなかった。
「だからね、亜蓮が言ってくれるから私は前に進もうと思ったの。もし弟か妹ができたら可愛がってくれる?」
少し照れたような仕草を見せながら、亜蓮を上目遣いで見る。キラキラした目と期待に満ち溢れた瞳は出会った頃の亜蓮を思い出させた。
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