第1章 出会い

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大学に来て、まずは構内にあるカフェテリアに寄る。 そこでコーヒーをテイクアウト。 「ありがとうございました。よい一日を」 決まり台詞を笑顔で言う店員に軽く会釈をする。 春休みまでもうすぐとは言え、ギリギリまで授業は入っているし、春休み中に実習もあったりする。 だから学年によっては嬉しい春休みではないところもある。 下級生とすれ違い、教授棟に入る。 「失礼します」 無駄に広い談話室。 天井が高く、壁4面すべてが本棚。びっしり詰まっている古書は、図書室のような天文台のような雰囲気が漂っている。 古い本の臭い。 その空間に一つの机にかじりつく坂田雅文(さかた まさふみ)教授56歳
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