第1章 出会い

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私と教授しかいないものだと思っていたから、そんな笑い声が聞こえることに心底驚いた。 声の方向に顔を向けると、談話室の中央にあるソファに腰を下ろしている男性。 口に拳を当てて、わらいを必死に耐えようとしている。 笑いたければ笑っていいのに。 だけど、その男性、ものすごく美青年。 青年って言っていいのか、年齢が想像できないけど、きっと5,6年生くらいだと思う。 男性なのに、失礼だけど、中世的で色白の綺麗な男性だ。 目が合うと、彼は首を傾げてフッと笑った。 その可愛らしい仕草に、警戒していた心はやんわりと解けていって、私もつられて頬を緩ませた。 談話室の吹き抜けになっている窓から差し込む光が、ちょうどその人にあたっている。 舞台俳優のように、まるでその一場面をみているようだった。
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