嫌われ魔女と紫の従者

なに、お前、生贄？

森に入るとすぐに魔女と出会った。
青空のような晴れやかな水色のワンピース。一見すれば村の娘に見えるだろう。
しかし、その右眼はタールのようなドス黒い液体で満たされていた。

「なに、お前、生贄？」

しかも凄く口が悪そうだ。

「…はい」
「もう村には来るなってか」
「まあ…そういうことです」
「お前は文句無いのかよ」
「仕方のないことなので」

はぁーっと魔女は大きなため息をついて、くるりと踵を返した。