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結局高氏は名越も仲時も裏切った。
名越高家は、赤松円心・千種忠顕・結城親光(ゆうき・ちかみつ)らとの戦いでじりじりと後続に現れるだろう高氏を待った。
「足利殿はまだか。まだなのか」
しかし、家来の言うことにはこうだ。
「足利高氏殿――謀反。野で酒盛りをしております」
「なにいっ」
足利殿、恨むべし。
そのとき、ひゅ、と勢いのつく矢が降ってきた。
「殿!」
目の前にかばう兵が、どうと血を噴出して倒れた。
「殿!」
二度目もその矢にかかる前に、兵が血しぶきをあげて倒れた。
矢を放ってくるのは、どんなやつだ。どんな――
二十歳くらいの僧形の男だった。
(これが私を殺す男か)
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