六波羅の嘆き

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 日野資朝、日野俊基(ひの・としもと)といった一族が次々と配流されたことを思い出す。 「お師様……けれど、時代の流れは後醍醐帝にある」 「持明院統につくのだ。そなたは師である私に逆らうのか」 「いえ……」  賢俊は、かつて昔に比叡山で赤松則祐と語り合ったことを思い出した。 ――今さらだ。  ふ、と暗闇の中で笑い、「持明院統につきます」と言ったのだった。  赤松円心は後醍醐天皇の味方だ。  自分と則祐とは敵同士になったということがわかり、それを賢俊は苦しく思ったのだった。
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