六波羅の嘆き

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庭は血の海と化し、死体の山で埋め尽くされた。 そこには、ぼう然とたたずむ光厳天皇の姿と、白刃を持つ佐々木道誉の姿。 やがて光厳天皇は認める。 後醍醐天皇の猶子で第五皇子、守良親王が、現れて腕を組み、仁王立ちをするのを。 「親王、なにかお言葉を」   ひそひそと扇子をひらめかせて道誉は言う。 「よく来たな。無駄な抵抗をしないならば、縄はかけないでやる」  上皇・天皇・皇子らは守良皇子に捕えられ、持っていた三種の神器は守良親王の手に渡った。  その目をきっとにらみつける寧子の目には、涙がたまっていた。
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