北条のゆくすえ

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 ぶつぶつとつぶやいていると、 「義姉上。今日のおかずは何にするか、端女に言いつけませんと」  と尋ねにきた義弟直義の若妻・頼子が歩いてくるのを捕まえた。 「ちょっと頼子殿。今暇してませんか?」 「いっ、義姉上?」  義理の姉から愚痴や雑事を任されやすい頼子は微妙な顔をした。 「北条から手紙が送られてきたわ」 「……!」  この手紙を前に、二人で話し合った。 「わたくしがおとりになって、頼子殿が不審者の頭を後ろからどつくというのはどうかしら?」 「えー、私、どつくなんて……人を傷つけたことなんて今まで一回もないんですよ」 「いいからいいから」  二人会議は長く続いた。  そして、頼子はしぶしぶうなずいた。
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