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「益時殿は?」
「師直が殺害しました。いけなかったとは言ってはなりませんよ、義姉上」
高氏の弟の直義が言う。
「そう……」
兄はいつでもわたくしに優しかった。
だから……益時の死が切なかった。
甥を、益時を裏切ったのはわたくし。
足利の正室という立場をとったわたくしが悪い。
「殿……」
足利高氏が足利荘へ戻ってきた。
各地での戦闘も終わり、今は後醍醐天皇を迎える手はずを整えている。
わたくし、甥を殺してしまったの。
そう言おうとしたら、抱き締められた。
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