第1章

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「へー、健やったな。」 「私、令嬢の言葉で泣きそうだったけど、玲子さんが言いたいこと言ってくれたから胸がスーっとしたよ。」 「健が頑張ってくれたんだから、明日は俺の番だな。」 「頼りにしてます、旦那様。」 「…………。」 高村くんが表情を変えずにじっと見詰めてくる。 「…高村くん?」 次の瞬間その顔が嬉しそうに緩んだ。 「…夕貴、すげーいい、今のもう一回言って。」 「え?旦那様?」 「そう、それ。」 「頼りにしてます、旦那様。」 もう一度繰り返すとあっという間に目の前には高村くんの胸 優しい温もりに包まれていた。 「夕貴は俺を喜ばす天才だな。襲っていい?」 「ダメ、食べ終わってから。」 レイのときは触れてくれないのに、化粧を取ればいつものベタベタの高村くんだ。 私は何も変わってないのにって思うのに… 職場で触れてくれなくて寂しかったのが今ので吹き飛んだ。
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