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そこまで話して高村くんがこちらに視線を向けた。
緊張の顔で高村くんを見ると、大丈夫だよと言わんばかりの笑顔を向けてくれる。
「彼女は僕に欠片も興味がなく、スルーされました。
その頃、僕は女子から少なからず注目されていましたので、彼女のその態度は心に残りました。
そして偶然にも高校もレイと同じでした。
友達から彼女のことが忘れられないから仲を取り持って欲しいと頼まれました。
僕が彼女に近づいたとき、迷惑そうに眉を寄せてこちらを見ました。
高校でも注目され、正直、外見だけで騒がれることが煩わしかった僕は、彼女の変わらぬ態度に何故か居心地いいものを感じました。
その時は恋愛感情はなく、
友達と会うセッティングをしました。」
高村くんの声だけが会場に響き、記者達が呼吸をするのも潜めてじっと高村くんの言葉に聞き入っているのがわかる。
「学校の行き帰りが同じ僕たちは、それから話すようになりました。
素っ気ない彼女の前では素の僕でいられました。今まで誰にも話したことのない家庭の事情まで話していました。
それを聞いた彼女は泣いていました。親に怒りをたぎらせる僕を心配そうに見ていました。」
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