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「僕は転校し、彼女と会うためにがむしゃらに働きました。
そして彼女が恋しくなると、二人の楽しい時間がつまっているマンションに行って思い出に浸っていました。
そうやって6年、僕たちは連絡を取ることなく、それぞれの道を進んでいました。
それでも、僕の彼女への気持ちが消えるときはありませんでした。」
記者たちの溜め息のようなどよめきが時おり響く。
「そして、出会ったのです。
彼女は母校の教師になって、6年前僕と過ごしたマンションに住んでいたのです。
僕と同じように彼女も僕を忘れていない。
心が震えました。嬉しくて嬉しくて、彼女をすぐにでも僕の中に閉じ込めたい…そう思ったのです。
けれど、なかなか思うようにはいきませんでした。6年の時間は素直になるには長すぎて…彼女を手に入れるのに僕は必死でした。
やっと心が通じても、彼女は教師になったばかり…
責任感が強い彼女は仕事を辞める気はありませんでした。」
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