第1章

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包み隠さず話す高村くんにちょっぴり動揺して彼を見ると、 心配ないよと声が聞こえそうな笑顔で手を握ってくれた。 「僕は夕貴の気持ちを無視して、側にいたい気持ちだけで彼女に酷いことをして苦しめてしまいました。 今、彼女は僕の子を妊娠しています。そしてそんな僕を受け入れてくれました。 僕がスクープされて彼女を混乱させてしまいましたが、僕は彼女以外の女性を愛したことはありませんし、自分から指一本触れたことはありません。彼女はそれを信じてくれて、生まれてくる子供のために二人で籍を入れました。 僕にとって、彼女は唯一の女性であり、女神様です。彼女がいないと食事も取れなくなり、生きていくことも怪しくなる。其れほどに彼女はぼくにとって大事な人です。」 言葉を聞きながらもうすでに決壊していた涙腺は解放状態で、ハンカチがグショグショに濡れていた。 シーンと静まり返った会場。その視線は私たちに注がれているのが分かる。 その静寂を破ったのは玲子さんだった。
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