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鏡の前でポーチからファンデーションを取り出すと、トイレに誰か入ってくる気配がして、個室に身を隠すと、
『ネットニュース見た?』
『見た見た、優人の相手が令嬢になってたね。』
『スクープが出たばかりだから、誤解を受けても仕方ないね。』
『けど、ホテルに言ったとまで書かれて、違いましたなんて令嬢側が黙ってないんじゃない?』
『そうだよね、令嬢の品位が傷つくし、優人が気を持たせて捨てたってまた騒がれるよ。』
『レイが見れるのは嬉しいけど、令嬢から奪い取ったって叩かれそう。
大丈夫かな?前途多難だね。』
『優人って今まで全然噂がなかったのに、影で遊んでたんだね。』
『もしかして、抱いたのは令嬢だけじゃなかったりして…』
『あのマスクだから言い寄られたら断る人いないよ。私だって抱かれたーい。』
『私も抱かれたーい、あははは…』
楽しそうに笑うOL達の声が遠くに聞こえる。私が悪く言われるなら我慢できる。
でも、高村くんを悪く言うのは許せない。
思わずバーンと音を立ててドアを開けた。
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