第1章

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鏡の前でポーチからファンデーションを取り出すと、トイレに誰か入ってくる気配がして、個室に身を隠すと、 『ネットニュース見た?』 『見た見た、優人の相手が令嬢になってたね。』 『スクープが出たばかりだから、誤解を受けても仕方ないね。』 『けど、ホテルに言ったとまで書かれて、違いましたなんて令嬢側が黙ってないんじゃない?』 『そうだよね、令嬢の品位が傷つくし、優人が気を持たせて捨てたってまた騒がれるよ。』 『レイが見れるのは嬉しいけど、令嬢から奪い取ったって叩かれそう。 大丈夫かな?前途多難だね。』 『優人って今まで全然噂がなかったのに、影で遊んでたんだね。』 『もしかして、抱いたのは令嬢だけじゃなかったりして…』 『あのマスクだから言い寄られたら断る人いないよ。私だって抱かれたーい。』 『私も抱かれたーい、あははは…』 楽しそうに笑うOL達の声が遠くに聞こえる。私が悪く言われるなら我慢できる。 でも、高村くんを悪く言うのは許せない。 思わずバーンと音を立ててドアを開けた。
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