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ある真夏の事だった。
小学3年生の私が出会ったのは、 青い色の鶯だった。
季節もおかしい、 色もおかしい……だから鶯ではないんじゃないかと思っていたが、 その鳴き声は鶯そのものだった──。
「おーい『アオスケ』豆が欲しいかそらやるぞ~」
相手は鳩ではなく鶯なのに、 私は歌いながらエンドウ豆を投げつけていた。
今思ったら最低ですね。
だけど『アオスケ』は逃げる事もなく、 夏の間はずっと私の家に居た。
「ねえ、 『アオスケ』? 何であなたは逃げないんだ? 近付いても、 触っても殴っても逃げないじゃん」
今更だが私は鶯に『アオスケ』と名前を付けて読んでいた。
アオスケは6月~8月まで、 家からは出る事がなかった。
しかし、 8月後半になった頃……少しずつアオスケは姿を見せなくなっていった。
呼んでも帰らず、 8月が終わる頃には誰にも目撃されなくなった。
どこに行ったんだろう──。
私はアオスケの帰りを待つ。
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