鶯が鳴いたかも

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それから数年が経って私は高校2年生となった。 今更ですが自己紹介。 私は『鶴野鶯花(つるのおうか)』 鶴なんだか鶯なんだかはよく分からない名前ですが、 鶯花と覚えていただくと嬉しいです。 アオスケと別れて早くも8年が経ち、 私には今好きな人がいる。 そして今日その人に告白するんだ──。 春の景色はとても好き。 桜は桃、 白色に染まり、 満開なら上がピンク色の空に変わる桜並木。 美しい景色を堪能しながらの花見は心が安らぐ。 私は、 そんな大好きな桜の木1本の下を舞台に選んだ。 「どうしました? 僕に話って……」 私の恋の相手は、 黒髪ショートでメガネをかけていて身長は164㎝くらいのそこそこ地味な人だった。 「好きです、 付き合って下さい」 即答だった……。 私の事なんか眼中に無いって言い方はちょっと違くて、 他に好きな人が居るらしい。 私は人生初の失恋をした。 ──── 私は落ち込むと毎回決まった場所に向かう。 そこは、 桜に囲まれた泉……水に桜が写り、 ピンク色の水に見える……勿論春だけだけど。 「初恋って、 ドキドキするものだけど、 失恋はズキズキするものなんだなぁ……」 私は初失恋を実感し、 なぜか感動し泣いていた。 ──いや、 絶対違う……悔し涙……? よく分からない。 背後から柔らかい土を歩く音がする。 「何の用だよ、 泉なんかに呼び出して」 「失恋の辛さって分かる? 」 私の言葉に驚くのは、 中学からの男友達『世井龍次(せいりゅうじ)』だ。 龍次の事は私が呼んだ。 話を聞いて欲しくてね。 「──て感じなのですよ」 「お前が恋をねー」 未だに信じようとしない龍次の肩を出来るだけ本気で無言真顔で殴ってみた。 てへ。 「お前落ちたらどうすんだ! 俺は泳げねーんだぞ! 」 威張って言うセリフではないと思ったけど……無視しよう。 「へーどうもすみませんでしたー。 はいおしまい」 「おしまいじゃねーよお前は獅子舞で良いわ」 「……」 「黙んなおい黙んな」 あまりにもバカな発言をするので固まってしまったではないか龍次君よ。 あ、 この人バカだから仕方ないのかな。 「で、 どうしろと? 」 「何がだっけ」 「お前が呼んだんだろが」 要するに君は『愚痴吐かれ器』さ、 もう用はない去れ。
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