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エピソード ホムラ
西暦2145年5月イースト研究所
(──ここはどこ?)
少女の意識は静かに目を覚ました。
(あれは──パパ?)
目覚めていたのは彼女の意識だけ──体は動かすことは出来なかった。
「ホムラの調子はどうだ?」
外の会話が聞こえてくる。
「後遺症が残る可能性はありますが少々頭痛が起こる程度ですね、それ以外は問題ないかと」
「そうか!それは良かった!」
「彼女の力は我々には必要不可欠ですから最善は尽くしていますよ」
力──それが何を意味するのかは分からないが彼女には嫌な響きに聞こえた。
「それにしても彼女は不幸者だな」
「確かに、目の前で家族を全員惨殺されるなんて──10歳の少女には耐えかねませんね」
(家族全員が惨殺された──うっ!?)
彼女に激しい頭痛が襲い、フラッシュバックが起こる。
(違う!違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!)
フラッシュバックの内容、それは白衣の男たちから逃げるホムラ、彼女を庇おうと家族達が惨殺されて行き──血まみれの状態で家族の遺体が転がり彼女が捕まるまでの内容だった。
「ホムラ!?くっ、安定剤投与急げ!」
「はい!安定剤投与します!」
(私に家族は居ない、それじゃこの人は──誰?)
その言葉を最後に彼女の意識はまた眠る。
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