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彼女は脅迫する気はないらしく、部屋の中をぐるっと見回して、
「そのお水が飲みたい。」と言って僕に、箱買いのペットボトルの水を要求して、それをいっきに飲み干すと落ち着いて笑顔になった。
僕は慌てて服を着た。
彼女の様子に普通の子だったと思われて、いや、この際、真相より彼女をアパートから追い出そうとおもった。
「早くここから出ていって!」と心で叫びながら、
「君は早く自宅に帰った方がいいと思う。お互いにこの事は全て忘れよう、絶対に誰にも言わないから大丈夫だから、ねっ。」
彼女をベッドから立たせると、軽く背中を押した。
「帰りたくない」と彼女は言って泣き出した。そして
「次の満月まで戻れない。」と。
「何だって?君は、嘘をつくにしても、もっとましなことが言えないのか?」
床にしゃがみこんでめそめそ泣く彼女はかぐや姫らしい。少々頭のおかしい美人を拾った僕に、月からのお迎えが来るまで置かせてと言う、何を言ってるんだ?絶対に駄目だ、お願いだからしばらくここに置いてください、お願いだから出ていって下さい、と延々とやりあって、僕の朝のバイトの時間が来てしまい、彼女を部屋に置いたまま出かける事になり、彼女はそのまま同居人となった。
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