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俺の問いに、先輩は、少しだけ笑みを浮かべた。
けれど。去年の夏に聞いたときと違い、その表情には、わずかばかりの悲しみが、浮かんでいた。
「……うん。好きだったよ」
先輩は、そう、答えた。
そして、その瞳に、僅かに涙を潤ませていた
「君の事が、好きだった。私とキミは同じ気持ちだったって、九十九パーセントの確信があった。だから、キミに呼び出されたとき、本当に嬉しかったよ。きっと、私の思いを百パーセントにしてくれんだって、そう信じていた。
でも。キミは照れちゃって、私に好きだと言ってくれなかった。九十九パーセントのままだった。あのときは、さすに私もちょっと残念だったけど……でも、残りの一パーセントは、私が埋めるべきだった。年上の私が、言うべきだったの。
それなのに。私は追いかけなかった。九十九パーセントにしてくれたのは、キミなのに。キミの方からいつも、私に声をかけてくれたのに。私も、その残りの一パーセントが、信じられなくて。私はあのとき、追いかけられなかった」
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