一難去ってまた一難

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「それで、その杉浦さんって人は一体何が好きなの?」 「んーっ、クロワッサンが好きだって言ってた」 「クロワッサンって…。 他にないの?」 「えーっ…」 他にないのって、留守番じゃないんだから。 クロワッサン以外で何かないかと考えていたら、ある光景が視界に入った。 …あれって、副社長だよね? 副社長は誰かをおんぶしていた。 彼の背中に乗っている人物に視線を向けると、黒髪ボブの女の人だった。 何かあったのだろうか? 当の副社長は私に気づいていない様子で、そのまま通り過ぎて行ってしまった。 そう言えば副社長におぶられていた女の人、どこかで見たことがあるような気がする…。 黒髪ボブなんて別に珍しくないけれど、何か見たことがあるな…。 「どうかした?」 そう声をかけてきたナオに、 「ううん、何でもない」 私は首を横に振って答えた。 やっぱり、気のせいかな。
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