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「今日は何講目までだ」と孝明が尋ねてきた。
「三講目の知的財産法」
「ふっふっふ。俺はこれで終わりだ。帰ってゲームやるんだ」
誰もおまえの予定など聞いていない、という言葉をぐっと飲み込む。こいつは放っておいたら魂までゲームに吸い取られるんじゃないかと思うほどのゲーム狂だ。
いま、僕たちがいる講義室は、この大学の中でも二番目の大きさの大教室。あと十分ほどすれば、社会環境学の講義が始まることになっている。出席を取られる講義だから、まだ講義が始まるまでは時間があるが、少しずつ教室の空席も埋まり始めていた。
「ところで、知ってるか、柊」
「何についてなのか言ってから訊けよ」
「やだなあ、これが現代っぽい喋り方なんだよ」
「昨今のバラエティ番組みたいで嫌だ」
「まさにそれをイメージしているわけだ」
「可愛い女の子ならともかく、おまえに言われてもな」
冗談のつもりだった。
「へえ。たとえば、あんな感じの?」
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