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ルース
大佐は戦車の操縦席に座り、ロボットを睨んでいた。
ぐっとアクセルを踏む足に力が込められた。
ぐおおおん!
戦車のエンジンが唸りを上げた。
まっすぐロボットへ向かっている。
「お祖父ちゃんの戦車につけて!」
署長の背後からミリィは叫んでいた。
運転席の部下はハンドルを握りしめ、唇を噛みしめた。
ミリィがやろうとしていることは予感できた。しかしこんな少女がそんな大胆な行動をやろうとするとは、驚きだ!
署長もおなじ思いだった。
かれの視線はつい、ダッシュ・ボードのプラスチック・ケースにいく。封じ込められている一本のタバコ。
指先がそろり、とケースにのびる。
あわてて引っ込め、呪文のようにつぶやいた。
禁煙中! 禁煙中……!
パトカーはぐっと大佐の戦車に近づき、ついに併走した!
ミリィは後席の窓から上半身をつきだし、腕をのばす。
指先が戦車にふれる。
ぐっとつきだした手がかりをつかみ、彼女はじぶんの身体を引っ張りあげた!
どっとミリィは戦車の上へ乗りあがる。
じりじりとそのまま戦車の前方へ移動していった。
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