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太った小男は後部座席に首をねじまげるように顔を向け甲高い声をかけた。
「なに言ってんだい! あたしの計画に間違いはないんだ。しかし思ったより稼ぎがあったねえ……どうだい、このお宝の山!」
そう言うと女は後部座席に山と詰まれた布の袋をぽんぽんと叩いた。袋には銀行の印が押され、ずっしりとした重みを伝えている。
三人は銀行強盗だった。
しかも常習の、全国指名手配の三人組であった。
ブロンド・キャリーというのが女の通り名である。三人は銀行の現金輸送車を襲い、現金を強奪してきたのだった。後部座席には襲撃の成果がキャリーの身体を埋めるように積まれている。
「ねえ姐御、そろそろ袋の中身をおがませてくださいよ。あっしはもう、じれったくてじれったくて……」
しかたないねえ、とキャリーは笑った。
現金の袋の口をぐいと開き、中身を覗かせる。
ひゅう──、と小男は唇をすぼめた。
袋の中からぎゅうづめにされた札束の山が見えたからである。札束だけではない。そのほかに有価証券、小切手などが詰め込まれているのが確認された。
キャリーはすぐ袋の紐をしばり、口を閉めた。
「ここまでだよ! 山分けするまで、我慢おし! ジェイク、あんたはあたしが見張っていないと、すぐ手を出そうとするからね」
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