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弾装をのぞきこんで大佐はがっくりと膝をおった。
一発も残弾がない!
たった二、三発撃っただけで弾切れとはなんとも馬鹿らしい。これでは町を守るなどと大見得を切ったじぶんがなんとも恥ずかしい限りだ。
砲塔にもどった大佐は、暴れているロボットを見上げた。
なにも打つ手がないのか?
ただロボットが町を壊しているのをぼんやり見ているだけなのか?
いいや、あるぞ!
大佐は三太夫に命令した。
「三太夫! ロボットに突っ込め!」
はあ? と、三太夫は首を捻じ曲げ、大佐を見上げた。
「そんでも大佐殿、戦車には弾がねえ、ちゅうこってすだ。弾切れのまま、どうやってあのロボットと戦うだね?」
大佐は喚いた。
「かまわん! この戦車をつかって、やつの足をとめてやる! これだけのおおきさだ。やつの足くらい、止められるさ」
三太夫は無言で操縦席から抜け出した。
大佐はぽかん、と口を開けた。
「どうした三太夫? なぜ、操縦席から離れるんだ?」
「お断りしますだ。おら、まだ死にたくねえだよ! 死にたければ、大佐殿、勝手にすればええだ!」
むむむむ……! と、大佐の顔は怒りに赤く染まった。
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